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一連の「名誉毀損判決」に対する私たちの見解

2009年4月20日
社団法人 日本雑誌協会
編集委員会 委員長 上野 徹

一連の「名誉毀損判決」に対する私たちの見解

 今年に入ってから、週刊誌に対する名誉毀損訴訟の判決において、容認しがたい司法判断が相次いで出されています。

 これまでも、雑誌が名誉毀損、プライバシー侵害等で損害賠償を課されるケースは少なからずありました。しかしながら、年初からこの3月末まで「超高額の賠償金」や記事作成にかかる「出版社社長の管理責任」、さらには「当該記事そのものの取り消し広告の掲載」といった、雑誌メディアがいままで経験したことのない異様ともいえる判決が続出しており、各雑誌編集の現場のみならず雑誌ジャーナリズム全体を揺るがせかねない事態を招いております。

 もとよりそれぞれの訴訟案件はあくまでも個別事案であり、一概には論じられません。しかし、4000万円を超える高額の賠償金額算定法はきわめて曖昧であり、その基準が何に拠るのか、明確にされてはおりません。また記事作成にかかる出版社社長の過失責任、監督・指導体制に言及した判決では、「悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ、其ノ取締役ハ、第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ」と定めた旧商法の規定を安易に言論機関にあてはめており、雑誌編集活動を萎縮させる効果を狙ったものといわざるを得ません。さらに「当該記事そのものの取り消し広告の掲載」命令にいたっては、記事そのものをなかったことにせよ、というに等しく、まさしく司法による言論への介入というべきものです。

 このように、雑誌ジャーナリズムのあり方をめぐって、懲罰的ともいえる判断が続出する背景には何があるのでしょうか。これまで出版社、とりわけ週刊誌・月刊誌は、なにものにもとらわれない自由な言論を標榜するジャーナリズムとして、政治家・官僚・財界人などから距離を置き、タブーを恐れず報道してきました。公人や著名人の疑惑や不正、人格を疑うような行為に対しても、敢然と取材をし、真相を読者に伝える、そこにこそ雑誌メディアの存在理由があると信じます。

 司法のあり方に対してもそれは例外ではありません。国民の過半数が否定的な意見を持つといわれる「裁判員制度」についても、私たちは厳しく問題点を指摘してきました。その「裁判員制度」の実施が迫ってきたこの時期に、相次いでこのような判決が下されているのは決して偶然ではなく、司法権力の雑誌に対する明確な意思の表れ、といわざるを得ません。

 もちろん、裁判所から指摘される「取材不足」、「真実相当性の弱さ」などについては反省し、自らを厳しく律していかなければならないのはいうまでもありません。それは司法の指摘を待つまでもなく、私たちに課せられた義務であります。

 ここに、裁判所による一連のきわめて恣意的で言論抑圧とも受け取れる判決に対して、私たち雑誌ジャーナリズムの現場からの見解を表明し、これからも臆することなく堂々と報じていきたい、との決意を新たにするものであります。

以上

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